唇から伝染する
「なんだろ、コレ・・・。飲み物?」
蓋を開け、匂いを嗅ぐ。甘ったるい匂いがした。
「飲み物・・・かな?」
小指にチョンと付けて、ペロッと舐める。変な味はしない。甘いシロップのような感じだ。
「・・・ちょっとおいしいかも」
テリーには悪いと思ったが、少しだけならいいよね?と瓶の中身を少しだけ飲んでしまう。半分ほど残ってるし、問題ないだろう。
瓶をもとあった場所に戻したときだった。ドアが開き、テリーが入って来た。
「なんだ、いたのか」
「うん。みんなは?」
「食事に行った。オレたちも行こうぜ」
「うん、そうだね〜」
笑顔でうなずき、部屋を出ようとしたときだ・・・ドクンと心臓が高鳴り、カァ・・・と体が熱くなった。
「!?」
ビックリして、思わずしゃがみこんでしまう。心臓がドクンドクンと跳ね、体はどんどん火照って行く。
「!? どうした!」
「・・・テリー・・・」
なぜだろう、目も潤んできたような気がする・・・。胸が苦しい。テリーが腕に触れると、全身に電流が流れたみたいな感触がし、ビックリして手を振り払った。
「?」
「あ・・・ごめ・・・」
言葉が続かない。苦しい。なんだか体がおかしい。下腹部が勝手に疼いてきた。
「・・・大丈夫か? どこが苦しい?」
「だ、大丈夫・・・」
「そんなわけあるか! 顔が赤くなってきたぞ」
頬に触れ、目を合わせれば、心配そうなアメジストの瞳が見つめて来る。
「・・・キスして」
「え?」
「お願い・・・そうすれば、ラクになるかも」
言われた通り、テリーがに口づける。唇を割って、舌が入りこんできた。口の中を舐めまわされ、下腹部がどんどん疼く。濡れてきている。
「・・・? 大丈夫か?」
「・・・う・・・」
「どうしたんだ、いきなり。どこが苦しいんだ? 言ってみろ」
「胸が・・・苦しい・・・」
「え!?」
「テ・・・テリーが触れると・・・胸が・・・苦しいの・・・ねえ、体中が熱いよ・・・! 私、何か変な病気になっちゃったのかなぁ?」
「そんなこと・・・」
言いかけたテリーが、途端に口を押さえた。ビックリして、が目を丸くする。
「・・・お前、何か飲んだか?」
「え・・・あ・・・ごめんなさい・・・あそこにあった・・・瓶の中身を半分ほど・・・」
「!!!」
テリーが目を見開き、眉根を寄せる。その反応に、ドキッとした。あれは飲んではいけないものだったのか・・・。
「ねえ、あれが原因?」
「・・・ああ」
「ウソ!? だって、普通に甘いシロップみたいだったよ? 何かの病原菌??」
「違う・・・」
テリーまでも苦しそうだ。頬が赤くなってきている。病原菌でないというのなら、この体の火照りと疼きはなんだというのか・・・。
「あれは・・・媚薬だ・・・」
「媚薬・・・?」
「性欲を増進させる・・・薬だ・・・。ロンガデセオの店で・・・もらったんだが・・・使い道はないだろうと思ったんだが・・・」
「!!?」
性欲を増進させる!? それで、こんなにも体が疼くのか。そんなものがあるとは、は知らなかった。当たり前だ。王女として育てられた彼女が、そんないかがわしい物の存在を知るわけがない。
「お前にキスしたときに、オレにも移ったらしい・・・クソッ・・・ずい分、強力な代物だったようだな・・・」
「テリー・・・どうしよう・・・いやらしい気分になってきちゃったよぉ・・・」
「バカ・・・! だから、言っただろう・・・! 性欲を増進させるって・・・」
泣き出しそうだ。苦しくてたまらない。蜜部が疼き、どんどんとそこから愛液が溢れる。
「・・・どうすればいいの?」
「・・・・・・」
「テリー?」
「・・・性欲を満たすしかない」
「え?」
「・・・オレに抱かれろ」
「!?」
もちろん、性交渉は初めてではないけれど・・・。そんな方法でこの苦しみが抜けるのか、不安になる。
「早く・・・決めろ・・・! オレだって限界に近い・・・! お前がムリだっていうなら、自分で処理する!」
「それは・・・自慰するってこと・・・?」
「・・・ああ」
だが、テリーはそれでいいかもしれないが、の疼きはどうするのか。自慰行為など、自分にはできない。ならば、自ずと答えは出る。
「・・・抱いて」
はしたないとわかっていても、そうするしかなかった。
***
前戯は必要なかった。の中は十分に濡れてグチョグチョになっている。テリーの男根も勃起し、先端からは先走り液が滴っている。
お互いに荒い呼吸をし、体中を走り抜ける性欲を満たすため、1つになった。
いつもより濡れているの中は、滑りがいい。耳をつく卑猥な水音が、テリーの興奮を誘う。しがみつくの姿が可愛くてたまらない。
「は・・・う・・・うんっ・・・んっ・・・!」
腰を押し進めるたびに、の口からは喘ぎ声が漏れる。それを塞ぐように、キスを交わした。
「あっ・・・はぁ・・・んっ! んっ!」
唇を離せば、が再び喘ぐ。その声が、テリーの脳髄を刺激する。
「う・・・あ・・・!!」
低く唸り、テリーが達する。慌てて自身をの中から引き抜けば、精液が先端から迸った。
「はあ・・・はあ・・・」
「・・・テリー・・・?」
「・・・なんだ」
うっとりした表情で、がテリーの名前を呼ぶ。愛しそうにテリーの手を取り、その指先に口付けた。
「もっと・・・シたい・・・」
「・・・ああ」
グイッとの腕を引っ張り、立ち上がらせる。何をするのかと疑問に思うを、壁の前に立たせ、そこに手をつかせる。
腰を掴んで尻を突き出させ、テリーが後ろから男根を突っ込む。が快感に背をのけ反らせた。
「ん・・・ん・・・!」
「ハァ・・・ハァ・・・っ・・・!!」
の喘ぎ声と、テリーの呼吸が部屋の中に響く。腰を打ちつけるたび、パンパンと音がした。
「あっ・・・はぁ・・・あんっ・・・! あんっ!」
壁に手をつき、腰を突き出し、がよがる。テリーの前では、完全に1人の女だ。王女なんて身分は関係ない。
「出すぞ・・・・・・! 出すぞ!」
「う・・・うん・・・! 中に出してぇ!!」
「うああああっ!!!」
腰を激しく打ち付け、テリーがの膣内に射精する。がそれを受け止め、ビクンビクンと体を震わせた。
「ハア・・・ハア・・・」
ずるり・・・との体が床に崩れ落ちる。その体を抱えあげ、今度は正面から挿入した。
「やあ・・・! テリィ・・・! もう・・・ダメぇ・・・!!」
テリーの首にしがみつき、不安定な態勢で突き上げられる。媚薬の効果は、もう切れているが、止まらなかった。
「あぁ! あぁん! やぁん・・・!!」
突き上げるたび、が悲鳴のような嬌声をあげる。リズミカルな動きに合わせて、の胸が揺れる。テリーの腰に足を絡ませ、より強く密着する体。
汗と体液でグチャグチャになる。テリーが男根を出し入れするたびに、卑猥な水音が響く。
「ダメぇ・・・! テ・・・リー・・・イッちゃう・・・!!!」
「イクなんて、どこで覚えた・・・?」
「いやぁ・・・! イク・・・イクのぉ・・・!!」
テリーの言葉なんて聞こえていない。頭を振り、喉をのけ反らせ、が激しく達した。
一瞬遅れて、テリーも達する。再びの膣内に精液を吐き出す。
「・・・なあ」
「・・・え?」
「あの薬は危険だ・・・捨てるぞ・・・」
「え・・・あ・・・」
テリーの言葉に、がうつむき、モジモジした。
「・・・もったいなくない?」
「は?」
「その・・・私がもらっちゃ、ダメ?」
のその発言に、テリーは頭を抱える。あんな乱れたの姿、自分には刺激が強すぎる。
「大丈夫! テリーには内緒で飲ませてあげるから!」
「オレに使うのかよ!」
てっきり自分に使うのかと思ったテリーは、のその言葉に声をあげる。
「・・・悪用するなよ?」
「うん。あ、バーバラにも分けてあげようかな」
「絶対にやめろ」
そんなことをしたら、テリーが媚薬を買ったことがバレてしまう。
そう、には「もらった」と言ったが、テリーはこれを買ったのだ。密かにに試そうと思っていたのだが、彼女は勝手にそれを飲み、予想以上の反応をした。これは危険である。
「なんか、動いたらお腹空いちゃったね・・・。私たちも行こう?」
「・・・ああ」
なんだか、ものすごく色気のないことを言われた気がする。ハァ・・・とため息をつき、ドアを開ける。
「!!!?」
「あ・・・」
その途端、目に飛び込んできた光景に、テリーは愕然とした。
ハッサン、チャモロ、そしてイザティード・・・旅の仲間たちが部屋の扉の前にいたのだ。
「・・・お前ら・・・まさか・・・」
「い、いやぁ・・・姫さんがあんなに大胆だとは・・・!」
「・・・・・・」
「ち、違うんだよ、テリー! 僕たちは、テリーたちが遅いから、迎えに来ただけであって・・・!」
「・・・・・・」
「そ、そうです! そんな好奇心なんかで立ち聞きしていたわけでは!」
「・・・言いたいことは、よ〜くわかった」
小さくつぶやき、テリーが腰に佩いた剣に手を触れる。
「わっ! バカ! こんなところで雷起こすな!」
「黙れっ!!」
「悪かったって! だけど、お前らが悪いんだぞ! あんなデカイ声出すから・・・」
「黙れと言ってるだろう!!!」
剣を持って、イザティードたちを追いかけ回すテリーを見つめ、がヘナヘナとその場に座り込んでしまう。情事の声を聞かれていた。顔から火が出そうだ。
「・・・うう・・・私、もうお嫁にいけな〜い!」
「大丈夫だ、姫さん! テリーがもらってくれる!」
「やかましい!」
騒々しい仲間たちに、バーバラとミレーユの雷が落ちたのは、言うまでもない・・・。