花の味を教えよう
晴れて夫婦となったシェルダンドの王位継承者・・・・セレルナ・シェルダンドと、ククール・イリスダッド。夫婦の誓いを立て、数時間後・・・法皇の館の客室に、2人の姿はあった。
ウェディングドレスを脱ぎ、夜着に身を包み、はハァ・・・と息を吐き出した。
夫婦の誓いを立てるまでの間、は夫婦の営みについて勉強をさせられた。自分がどんなに無知だったのかを、まざまざと知らされた。
性教育の担当であった中年の女性は、事細かくに教えてくれた。男性と女性の体の違い。どうすれば子供が出来るのか。
18歳になって初めて知ったその事実。自分はそうして国王と王妃の間に命を授かったのか・・・と感慨深いものがあった。
神により命を授かった尊い存在・・・それが赤子だ。その存在を望まない親はいないだろう。
そして、晴れてククールと夫婦になったに課せられたのは、早くも世継ぎの誕生だ。まだ王位すら継いでいないのに・・・とも思うが、父王は早ければ来年の春にでもククールに王位を譲るという。
もちろん、貴族でもないククールが、いきなり国王の任に就くのはいくらなんでも可愛そうだ・・・ということで、しばらくの間はの父が摂政としてついてくれるというが・・・。
そんなとりとめもない事を考えていたの耳に、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「はい・・・」
「こんばんは、王女。お休み前に申し訳ありません」
「いいえ。眠る前に伝えることがあるとお父様から言われております」
入って来たのは、に性教育をした中年女性だ。彼女は部屋の中に入ると、にベッドの上に座るよう伝えた。
少々、行儀が悪いのではないか・・・と思ったが、言う通りにした。
「それでは、王女・・・。本日はご成婚まことにおめでとうございます」
「ありがとうございます」
「早速ではございますが、今夜は初夜と申しまして、婚姻の儀を結んだ2人が、同衾する夜でございます」
「・・・はい」
事前にその話は聞いている。緊張のためか、膝の上で握った拳に力が入る。
「当然、王女は初めての性行為でございます。慣れず、痛みも伴うかと思いますが、それはけして苦痛ではなく、愛する夫から与えられる痛みでございます」
「は・・・い・・・」
苦痛を伴う・・・初めての女、処女は皆そうだと聞かされた。それがの緊張をより高める。
「残念ながら、ククール様は王女が初めてのお相手ではないようですので・・・手慣れていらっしゃるかと思います。安心して、身を委ねて下さいませ」
「はい・・・」
は教官の言葉にうなずくことしか出来ない。ククールが女性経験豊富だということは、なんとなくわかっていたけれど・・・やはり、が初めてではないのか、と少し寂しく思った。
「よろしいですか、王女。おつらい時は、必ずククール様にお伝え下さい。ククール様にも、処女でいらっしゃる王女に無理強いはさせないように、と伝えてあります」
「・・・わかりました」
「それでは、王女、ククール様を呼んで参ります。しばらく、そのままでお待ち下さいませ」
教官が出て行き、辺りが静寂に包まれる。自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえた。
話に聞くだけで、経験のなかったこと。今まで、色々なことを実践経験してきた。剣にしろ、魔法にしろ、お祈りにしろ・・・。だが、それらをは全てそつなくこなした。きっと、今回も大丈夫だ。
大きく深呼吸をし、拳を握りしめ、目を閉じたとき、コンコンと再びドアがノックされた。
「はっい・・・!」
「失礼いたします、姫」
声が上ずった。ドアを開け、入って来たのは数刻前、自身の夫となった最愛の男性だ。続いて、教官も入って来る。
「ククール様、おそらく王女は緊張していらっしゃいます。何せ、初めての経験ですので。どうか御心を配って差し上げてください」
「ええ、わかってますよ」
「それでは・・・失礼いたします」
頭を下げ、教官が部屋を出て行く。バタン・・・とドアの閉まる音に、の心臓が大きく跳ねた。
とうとう2人きりだ。今までの生活でも、旅の道中でも夜2人きりになったことなどなかった。
嫌でも心臓がドキドキと高鳴る。恥ずかしくて、ククールの顔が見られない。
「姫? 大丈夫ですか?」
「は・・・い・・・!」
「本当に?」
「だ、大丈夫・・・ですわ! わたくし、これでも色々と学びましたから! ククールには、長い間、我慢をさせていたことも!」
「・・・そんなことまで教わったんですか」
ハァ・・・とため息をつき、天井を仰ぐ。ということは、自分で慰めていたことも聞いているということか。
「そうですね・・・まずは、緊張を解くため、世間話でもしますか」
「え? よろしいのですか・・・?」
「うん?」
「その・・・我慢、なさってるのでしょう?」
の言葉に、ククールは一瞬呆気に取られ・・・次いでクスッと笑った。
「今さら、我慢できないということはありませんよ。それに、姫に無理強いはさせたくないんでね」
「・・・でも」
「オレとお話するのはイヤですか?」
「いいえ、いいえ!」
「それじゃあ、少し話しましょう。そうですね・・・エイリュートとゼシカのことでも」
「・・・はい」
まるで、かつて旅に出ていた頃のように、ククールが他愛もない話をする。イシュマウリの話や、ヤンガスとゲルダの話、レティスの話など懐かしい名前まで出てきた。
の顔から緊張の色が消え、笑顔が浮かぶ。その表情にホッとした。このまま、ガチガチに緊張し、棒のような妻を抱くことになるのか・・・と懸念したからだ。
「・・・姫、いや、」
「はい・・・」
名前を呼べば、照れくさそうにがククールに視線を向ける。ククールが微笑を浮かべ、そっと頬に触れ、顔を近づける。唇が重なった。
「キスは、お嫌いですか?」
「・・・いいえ」
「では・・・続けましょう。大丈夫・・・キスだけですよ」
「はい・・・」
チュ・・・とククールが音を立てての唇にキスをする。唇で唇を挟むようにして、啄ばむようなキスを交わした。
「姫、口を開いてくれますか?」
「え・・・はい」
不思議に思いながらも、おずおずと口を開けば、ククールの舌が口内に入り込んでくる。ビックリして、思わず体を引いてしまった。
「あ・・・ご、ごめんなさい・・・驚いてしまって・・・」
「いえ、じゃあ普通のキスにしましょう」
一つ一つ、丁寧に事を進めて行くククール。本当は、今すぐにでも自分を抱きたいだろうに・・・。そう思うと、切なくて・・・胸が苦しくなった。
そっと手を伸ばし、ククールの首に腕を回して抱きつく。そして、ゆっくりと口を開いた。
「姫?」
「大丈夫です・・・先へ、進んでください」
開かれた口に、再度ククールが舌を入れる。戸惑うの舌を捉え、絡ませる。荒い呼吸がもれ、が苦しそうにする。だが、深いキスを交わしていくうちに、の気持ちが高揚してくる。今までに感じたことのない感情だ。
『男性は、女性の体に触れることで興奮し、男性器が形を変えて行き、女性器の中に入り込むのです』
教官の言葉を思い出す。大雑把にだが、教わったことを思い出して行き、それを実践しようとする。
「ククール・・・あの・・・」
「はい?」
「・・・触って下さい、もっと、わたくしに」
「え?」
頬に触れていたククールの手を取り、それを自分の胸に触れさせる。ドクンドクンと高鳴る鼓動が、手を伝ってククールにも伝わる。
「姫・・・大丈夫ですか?」
「はい。もう、平気です。あなたが、いつもするようにしてください」
「いや、そういうわけにはいかないが・・・。それじゃあ、触りますよ」
「はい」
ククールの手に添えた手を放す。目を閉じ、必死に自分を落ち着かせる。ククールの手が、ゆっくりとの胸を揉み始める。初めて感じるその感触。胸が苦しい。世の女性たちは、こんな気持ちで男性と愛を育むのか・・・。
左手だけだったそれに、右手が加わり、の胸をククールの両手が揉みしだく。最初は優しかったそれが、次第に力が込められていく。
「姫・・・その・・・」
「はい?」
「・・・脱がせても、いいですか?」
ドキッとした。何を・・・なんて聞くまでもない。裸など、侍女にしか見せたことはない。ましてや殿方など、もっての他だ。
だが、彼は自身の夫だ。特別な存在なのだ。
「・・・はい」
頬を赤く染め、小さくうなずけば、ククールがの夜着に手をかける。頭からスッポリと脱がされ、の裸の胸が顕になる。
「・・・綺麗だ」
ゆっくりと、ククールの手がの体を押し倒す。白い肌はまるでククールの手に吸いつくかのように滑らかで、ずっと触れていたいと思わされる。
豊満な胸は、想像していたよりも、ずっと綺麗で・・・ピンク色の乳首はピンと立って自分を誘っているようだった。
ゆっくりと胸を愛撫し、キスをしながら片手をスルスルと下腹部に伸ばす。下着の上から割れ目をなぞれば、がたまらず「イヤっ!」と声をあげた。
「あ・・・ご、ごめんなさい・・・!」
初めて触れられた恐怖から、思わず拒絶の声をあげてしまった。ククールは苦笑し、そこから手を放すと、体を起こした。
「あ、あの・・・本当に、ごめんなさい・・・その・・・」
「いいですよ、ムリはしない約束です」
「違うのです、イヤなのではなく・・・驚いただけです。本当です! ククールに触られるのは、イヤではありません」
それでも、これ以上の無理強いはできないと思い、ククールはベッドから離れる。そのまま、ドアの方へ歩いていこうとするので、は慌ててベッドから下り、背後からククールに抱きついた。
「お願いです・・・! 行かないで・・・!!」
「姫・・・」
「お願い・・・!」
ククールを抱きしめる手が震えている。それは何の恐怖なのか。触れた自分への恐怖なのか、自分に拒絶されたことへの恐怖なのか。
「わかりました・・・続きをしましょう」
そっとその震える手に自分の手を重ね、振り返る。涙で潤んだ大きな瞳が、ククールを見上げた。
再びベッドの上に戻り、キスを交わす。ククールが恐る恐る下腹部に手を伸ばし、再度割れ目を指でなぞる。の体が強張ったのを感じたが、彼女が咄嗟にククールの服を掴んだ。
行かないでくれ・・・離さないでくれ・・・そう訴えかけているようだった。
初めてのは、なかなか濡れない。恐怖と緊張ばかりが勝ってしまい、なかなか興奮することができないのだろう。それでも、根気強く、丹念にそこを撫で上げる。
次第に、の呼吸が荒くなり、顔が上気してきた。感じてきているのかもしれない。
「姫・・・キスを」
チュッとキスを交わしながら、ククールがの下着の紐を解く。キスに夢中になっている間にそれを脱がせる。直接触れたそこは、すでにじんわりと濡れていた。
「怖いですか?」
「い、いいえ・・・ククールが・・・わたくしを愛している証拠ですもの・・・」
「可愛らしいことをおっしゃる。どうか最後まで、その気持ちを抱き続けてください」
首をかしげるに微笑んで、ククールは自分の着ていた服を脱いでいく。上半身が裸になっただけだというのに、は顔を真っ赤に染め、目を逸らす。なるほど、異性の裸は見たことがないのだな。
「触って。オレに直接触れてください」
の手を取り、左胸に当てる。ククールの胸の鼓動に、が安心した表情を浮かべた。
「・・・ククールが、今、わたくしの前に生を受けて生きている証拠ですわね」
「そうです」
「過去に様々なことがあったでしょうけれど、わたくしは、あなたがこの世に生まれてきてくれたことを、感謝しておりますわ」
マルチェロとの確執のことを言っているのだろう。胸に頬を寄せ、が抱きついてくる。その長い髪を一房手に取り、そっと口付けた。なんて愛しいのだろう。
「姫、ゆっくりと・・・横になってください」
全裸のがベッドの上に横になる。下着が脱がされていることに気づいていないようだった。白い肌がまぶしい。この体を、自分のものにする時が来た。
ズボンのベルトを外し、下着と一緒に脱げば、が慌てて目を逸らし、恐る恐るといった様子でこちらを見た。
「怖いですか?」
「い、いいえ・・・あの・・・その・・・」
「はい?」
「ソレを、わたくしの中に、入れるのですか?」
のその問いかけに、ククールは呆気に取られ・・・思わず苦笑を浮かべてしまった。
「勉強なさったのでしょう?」
「そ、それはそうですけれど・・・絵で見た物よりも、大きいようなので、わたくしの中に入るのか心配で・・・」
「うれしいことをおっしゃる」
「え?」
「大丈夫ですよ。ご存じだとは思いますが、最初は誰でも痛みを伴う。無理はしないで。オレにしがみついていいですから、これ以上は無理だと思ったら、言って下さい」
「はい・・・」
ゴクリ・・・唾を飲み込む。だけでなく、ククールも緊張している。何せ、聖王国の王女の処女を奪おうとしているのだ。気高く、美しい巫女姫。手に入れたくてたまらなかった、その存在。
フゥ・・・と息を吐き、男根の先端をの入り口に宛がう。グッと腰を押し進める。の入り口が押し開かれ、ククールの男根を飲みこんで・・・。
「キャア!!」
が悲鳴をあげる。思わず、ククールが動きを止める。まだ先端が入っただけだ。まさか、こんなに痛がるとは・・・。
「無理ですか?」
「い、いいえ・・・! 大丈夫ですわ!」
「・・・・・・」
本当に大丈夫かと不安になる。だが、ここで止めても先ほどの二の舞だろう。仕方なく、ククールはそのままゆっくりと腰を押し進める。
「ひっ・・・ぐ・・・ぅ・・・!」
ギュッとシーツを握りしめ、苦悶の表情を浮かべるに、ククールはなかなか先へ進めない。まだ半分も入っていない。
恐る恐る、さらに腰を押し進める。きつい。なかなか先へ進めない。少々強引に腰を押し付けると、がひと際甲高い声を発した。
ああ、処女膜か・・・とククールは冷静な頭でそれを判断する。は目に涙を浮かべ、必死に痛みをこらえている。
「姫、抱きついて。オレに爪を立ててもいい。息をして。ゆっくり・・・深呼吸だ」
ククールの言う通り、がククールの背に手を伸ばし、ゆっくりと呼吸を繰り返す。それで痛みが消えるとは思えないが、落ち着いてほしかった。
ズ、ズ、ズ・・・とゆっくりとククールの男根がの中に入り込んで行く。の秘部からは血が染み出て、シーツを汚す。ククールの背中に立てた爪が、ガリッと肌を引っ掻く。だが、そんな痛みも気にならない。
『マズイな・・・』
ククールが眉間に皺を寄せる。痛みに苦しむは、そんな夫の表情に気づかない。
『きつい・・・気持ちよすぎる・・・もう達しそうだ・・・』
女の扱いになれているはずの自分が、ちょっと挿入しただけで、達してしまいそうになっている。
今まで、心から人を愛したことなんてなく、抱いた女も行きずりの女だったり、売春婦だった。愛し合う、という行為をしたことがなかったことに気づく。
ああ、そうか。愛し合うというのは、こんなにも満たされることなのか・・・孤独だったククールの心に、初めて温もりが生まれた気がした。
止まっていた腰を、押し進める。は痛みに苦しんでいるが、止められそうもなかった。
ゆっくりと、時間をかけて・・・ようやくククールのソレが全ての中に入り込んだ。
「痛いですか?」
言葉もなく、はうなずく。涙がこぼれ、枕を濡らす。これじゃ、動けないな・・・と残念に思った。だが、まずはを慣らせるのが先だ。
「どんな気分ですか?」
「・・・ククールが・・・私の中にいます・・・今、一つになってるんですね・・・」
「幸せですか? それとも・・・」
「幸せです・・・ククール、キスをしてください」
「仰せのままに、姫」
キスを交わし、の濡れた頬に触れる。目尻に残る涙を指で拭った。試しに少し動いてみる。途端に、ビクン!との体が跳ねた。
あれ?と思う。もしかして、少し感じている?
声をかけると、目を閉じて・・・荒い呼吸を繰り返す。もう一度、腰を揺らすと、が喘いだ。痛みによるものではない。艶のある声。
押し広げれた膣が元に戻ろうと締まる。まるでククールにまとわりつくようだ。ダメだ。止まらない。
「姫っ・・・! お許しを!」
「えっ・・・? あっ!」
の腰を掴み、腰を動かす。の血と、愛液、ククールの先走り液が混じり、潤滑油の役割を果たす。
突き上げられたの体が、ガクガクと揺れる。愛らしい口から洩れるのは、喘ぎ声。
その姿に頭が真っ白になり・・・あっという間に達してしまう。ドクンドクン・・・とククールの精液がの子宮目がけて吐き出された。
ズルリ・・・との中から男根を引き抜く。白濁液と一緒に、血が溢れ出る。は完全に呆けており、体に力が入らない状態だ。これで挿入しても、気持ちよくはないだろう。
「姫、大丈夫ですか?」
声をかけるも、返事がない。まずい・・・と思ったが、もう遅い。は完全に気を失っていた。
「・・・一回でコレかよ。参ったな」
自分はまだまだ溜まっているというのに・・・。だが、今は幸せな気分でいっぱいだ。
ククールは眠るの額にキスを落とし、その傍らに横たわった。
「ゆっくりと、教育していけばいいしな」
ポツリとつぶやく。そっと目を閉じる。久しぶりに膣内で射精し、その余韻が残る中、気づけばククールも眠りに落ちていた。
2人の新婚初夜は、こうして幕を下ろした。