6.一つの終焉
Chapter:5
───
、もう泣くのはおやめなさい
─── でも・・・でも・・・!
─── ここには、あなたのお友達がたくさんいるでしょう? 寂しいことなんてないのよ
─── でも・・・パパとママが・・・かえってこない・・・
───
がいつか大きくなって、今よりも強くなって、泣かない子になれば、あなたのパパとママはきっと帰ってくるわ
『だけど・・・パパとママは帰って来なかった』
それどころか、2人に捨てられた記憶さえ失っていた。
『ママ先生をウソつきとは言わない。あの頃の私は、ママ先生の言うことが全てだと思っていた』
─── 強くなりなさい、
。大きな運命を受け入れられるように
『おおきな運命・・・それが何なのか、私は知らない』
─── あなたと、あなたの大切な人のために・・・強くなりなさい
『あの日の、ママ先生との約束通り、私は強くなった。SeeDになった。魔女を倒す力を手に入れた・・・!』
─── 誰よりも強くなりなさい・・・あなたの運命に打ち勝てるように・・・!
***
マスタールームは、異様な雰囲気に包まれていた。
さながら、あの日のデリング・シティのようである。魔女の魔力でまるで異空間にでも迷い込んでしまったかのようだった。
重苦しい空気・・・体が重く感じる。
そして・・・目の前には、ものすごい威圧感を放つ魔女と・・・彼女の騎士。
「サイファー・・・」
が小さくその名をつぶやく。彼は、まだ幼なじみの記憶を取り戻していないはずだ。
「なんだよ、久しぶりに母校に行こうと思ってたのによ」
「黙れ」
サイファーの言葉を、スコールが一蹴した。
「お前、まませんせいを倒しに来たのか? ガキの頃の恩は忘れたか?」
その言葉に、一同は目を丸くした。
あの日、トラビア・ガーデンにいなかった幼なじみが、過去を思い出している・・・?
いや、彼はもともと記憶を失っていなかったのかもしれない。彼は自分の力を信じている。自分の力こそが絶対だと思っている。そんな彼が、G.F.の力になど頼るだろうか?
サイファーの視線がグルリとスコールたちの間を滑る。その中に、かつての恋人の姿を見つけた。
「リノア・・・お前、オレと戦えるのか? 1年前はよ・・・」
「戦う! 戦うことで、サイファーが目を覚ましてくれるなら・・・わたしは戦うよ!」
毅然とした口調のリノアに、サイファーは呆気に取られたようだった。だが、すぐにため息をこぼした。
「・・・なつかしいな。スコール、チキン野郎、先公に伝令女、先輩、そして・・・アーヴァインか。お前まで一緒にいたなんてな。ゼル、子供の頃は色々あったけど、今になっても変わらなかったな。キスティス、オレは手のかかる生徒だったな。セルフィ、
、アーヴァイン・・・お前らとは、きちんと話がしたかった」
「何言ってるのよ、今さら! バラムの町を封鎖して、ガーデンを攻撃して、今さら殊勝なこと言って、同情誘おうっていうの? バカにしないで!」
サイファーの言葉を突っぱねるように、
が声を荒げた。
「俺たちの気持ちをぐらつけさせようとしても無駄だ。あんたは何者でもない。あんたは、ただの“敵”だ。あんたの言葉は届かない。あんた、俺たちにとってモンスターと同じだ」
スコールがキッパリと言い放つ。彼らに戸惑いも迷いもなかった。
「モンスターと同じだあ? オレは魔女イデアの騎士だ。群れて襲いかかるモンスター。そりゃ、お前たちだ」
サイファーがガンブレードを構え、スコールに斬りかかってくる。スコールはそれをガンブレードで受け止める。そのサイファーに、リノアがブラスターエッジを向けた。
「サイファーは俺に任せろ!