せっかくなら、やっぱりキスしてもらって、抱きしめさせてもらって、祝福の言葉をもらって・・・っていう、そういう“普通”の恋人同士の誕生日を迎えたいって思ってた。
・・・恋人同士じゃないけど。
「キラ! カガリ! 誕生日おっめでと〜!!!」
花束を抱えた彼女が、背後に黒髪の少年を従えて部屋に入ってきた。
その姿を見つけ、部屋内にいた双子の姉弟が驚いた表情を浮かべる。
「・・・誕生日? あ、そういえば・・・」
「カガリってば、忘れてたの!? 忙しいもんね。はい、これは私からカガリに!」
「ありがとう・・・! 部屋に飾らせてもらうよ」
仕事部屋であるこの部屋に、鮮やかな花が飾られる。
「で、これはキラに。目覚まし時計」
「・・・僕、いい加減に寝坊はしないよ?」
「いいの! 私の声でメッセージ入ってるからね」
「もらう」
の声で目が覚めるのなら、とキラは喜んでそれを受け取った。
「ありがとう」と素直にお礼を言い、それに対して「どういたしまして」とニッコリ笑う。だが、その姿を背後の少年は気に食わないといった表情で見つめていて・・・。
「やあ、久しぶりだね、シン。君からはプレゼントないの?」
「すみませんね。オレは今日、ただの付き添いなんで」
「ほぉ〜ら、シン! だから言ったでしょ? 手ぶらで行ったら、キラに何か言われるよって」
「それに・・・プレゼントあげるほど親しい仲じゃないし」
ぶっきらぼうに言い放つシンに、は困ったような表情を浮かべる。
「ご、ごめんね、キラ・・・! カガリ! えっと・・・」
しどろもどろになるに、カガリは「気にするな」と微笑んだ。
先の大戦で、キラとシンは敵同士だった。と言っても、明確な敵ではなかったのだが・・・。何度も戦場に姿を現し、戦況を混乱させたフリーダムとストライクルージュ。そして、シンが妹のように思い、守ろうとしていたステラを殺したフリーダム。様々な原因が重なり、シンとキラは戦った。当時最新鋭機体だったインパルスに乗り、その特徴を活かし、フリーダムを撃破したシンだったが、キラは生きていて・・・。その後、オーブ上空で再び二人は激突したが、キラの圧倒的な強さに、シンは苛立ちを募らせるだけだった。
戦後、オーブの地にて、顔を合わせた二人だったが、シンはかつて同じ場所で出逢った少年がキラだったことに気づき、驚いていた。そして、キラの寛容な言葉に、涙を流したのだが・・・。
「は渡せない」
この一言が、シンにとっては許せない一言だったようだ。当のはオロオロし、明確な気持ちを告げてはくれない。
本当のところ・・・彼女はどう思っているのだろうか?
シンが席を立ち、カガリがキサカに呼ばれその場を去ると、部屋の中にはキラとだけになり・・・チャンス到来といったところか。
「ねえ・・・?」
「ん? なぁに、キラ?」
あの頃・・・AAに乗っていた頃と変わりないの笑顔に、キラはそっと微笑んだ。
「僕とシン、どっちが好き?」
「は?」
笑顔で尋ねられたその言葉に、が声をあげ、目を丸くする。
「確かに、あの時は・・・僕を置いてシンのところへ行ったけど・・・未だに二人は恋人同士のままでしょ? それってやっぱり・・・僕のことが気になるからじゃないの?」
「え・・・いや・・・それは、その・・・」
「僕がまだ、のことを想ってるって・・・知ってるでしょう?」
「!!!」
近づいてきたキラの顔に、は耳まで真っ赤になる。
シンが戻ってくる前に・・・そう思ったキラは、そっとの顎を持ち上げ、視線をぶつけた。
「・・・愛してるよ・・・」
「キ・・・ラ・・・」
目を瞬くの口唇に、キラがそっと口付ける。
触れ合わせていた口唇を離し、あ然とするに意地悪な笑みを浮かべるキラ。
「誕生日プレゼントとして・・・いいでしょう?」
「な・・・な・・・」
顔を真っ赤にし、口をパクパクさせる。そんな彼女が愛しくて、キラはクスッと微笑んだ。
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キラ様生誕記念でございます! カガリがいたのは、もちろんカガリ生誕記念日でもあるからです。んが・・・これは「そして〜」の本編終了後のお話・・・になると思いますので、さんはシンの恋人です。あくまでキラ恋人のじゃないとこがポイント・・・(苦笑)。キラは好きだけど、種デスのキラは好きじゃないんだも〜ん。
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